【文系・学振採用体験記】学振を通した学びと成長
こんにちは。メディア担当になりました、D3の澁川です。
今回は、学振採用者に協力してもらい、これから学振を出そうとしている院生が抱える質問に回答していただくとともに、採用者自身の学振を通した学びを振り返ってもらう企画を考えてみました!
学振の概要を説明した後に、文系(いずれも高等教育学コースに所属)4名の採用体験記のリンクへつなげます。
これから学振を執筆しようとしている人の参考になれば幸いです!
学振ってなに?DCってなに?
今回取り上げる学振とは、独立行政法人「日本学術振興会」が提供している特別研究員制度のことを指します。
特別研究員制度とは、「我が国の優れた若手研究者に対して、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者の養成・確保を図る制度」です。
特別研究員の制度にはPD、RPD、CPD、DC2、DC1があります。
大学院在学中に関係するのがDCです。
DC1とDC2の違いは、申請時期です。
DC1:M2の春に申請→M2の秋に採用可否がわかる→D1の春から「特別研究員DC1」として採用
DC2:D1orD2の春に申請→D1orD2の秋に採用可否がわかる→D2orD3の春から「特別研究員DC2」として採用
仮に修士→博士とストレート進学する場合、合計3回DCに挑戦できます。
この企画ではDC1とDC2の採用体験記を紹介します。
学振のいいところ
学振の主な特徴は次の通りです。
毎月20万円の研究奨励金(=生活費)と、年間最大150万円の研究費をもらえる
まず金銭面ですが、採用されると毎月20万円の生活費+研究費を支給してもらえます。
生活費の確保は多くの人にとって重大な問題だと思います。
学振に採用されるとアルバイトをする必要が減り、研究に専念することができます。
博士後期課程の進学を目指す人の多くは周囲がすでに働いている人が多いと思うので、生活費が確保できることは、精神衛生上も大変良いです。
※詳しくは募集要項を確認してください。
https://www.jsps.go.jp/j-pd/data/boshu/dc_yoko.pdf
※以前までは学振以外からの報酬受給について厳しかったのですが、今年度から規制緩和されました。「特別研究員遵守事項及び諸手続きの手引」を参考にすると良いです。
「研究遂行費の申請」など減税に関係する制度も手引きを要確認。
修正箇所の資料もわかりやすい。
https://www.jsps.go.jp/j-pd/data/tebiki/r3/r3_henko.pdf
若手研究者のキャリア形成にとって花形である
次に、アカデミックキャリアに箔をつけることができます。
学振に採用されると「日本学術振興会特別研究員(DC2)」のように、職歴に記載できます。
そのため、CV(履歴書)上で自分の研究能力をアピールする材料にもなります。
また、学振は様々な学問分野の登竜門的存在ですので、他分野の研究者から研究能力を認めてもらいやすい利点もあります。
申請書執筆から採用までの大まかなスケジュール
学振が提示しているスケジュールと執筆に向けたスケジュールをざっくり合わせてみました。
- 1月以前:積極的に学会発表や論文投稿を行う。
- 1月:執筆の構想を考え始める。
- 2月:募集要項・申請書作成要領・申請書様式が公開されるので、確認する。
- 申請書の執筆開始。指導教員に申請の意思を伝える。(他大学に申請する人はその受入教員に連絡)
- 2〜3月:申請書の初稿完成目標。大学によっては学内で学振説明会が開催される。
- 4月-5月:受け入れ研究機関から申請IDを取得。教員に評価書作成の依頼および評価書の作成。申請書を何度も修正し精緻化する。
※大学によりID発行や評価書・申請書提出の〆切が異なるので要注意 - 5月中旬:学内・事務チェック〆切(※京大の場合。希望者のみ。)
- 6月上旬:学内・申請書提出〆切(※大学によって学内〆切が異なるので要注意。京大は学内〆切遅め。)
- 6〜9月:審査結果を待つ。
- 10月上旬:第一次選考・審査結果の通知。
- 11-12月頃:面接試験or書類審査による第二次選考の実施
- 1−2月頃:第二次選考合格者や補欠合格者への合格通知
何を書くの?
フォーマットは年により変化しますが、おおむね
研究の背景と位置づけ、研究の目的、研究計画、研究の意義やインパクト、研究倫理の遵守、業績など自身の研究遂行力の説明、目指す研究者像
などを記述します。
なお、今年度の申請書は項目が大きく変わりました。各自確認しましょう。
個人的には、今年度の申請書で
- 必ずしも過去にやっていた研究の続きをやることを前提として書かなくてもいいような項目になっているため、多様な研究のバックグラウンドを持つ人が書きやすくなった
- 「業績」の欄が見直され「研究遂行力の自己分析(研究に関する自身の強み、今後研究者としてさらなる発展のため必要と考えている要素)」という項目に変わり、業績数など量的な指標ではなくその質を重視することが強調された
点が印象的でした。
業績などわかりやすい指標以外で自身の専門性や研究の強みを自由に表現できることは良いことですね。
採用体験記を見てみよう
ここまで学振の概説をしてきました。
以下の記事では、これから学振を出そうとしている院生が抱える質問に回答していただく形で、採用体験記を執筆してもらいました!
十人十色もとい四人四色なエピソードを見られるので、ぜひ御覧ください!
①D3・澁川幸加(DC2)
②D3・杉山芳生(DC2)
③D2・岩田貴帆(DC2)
④D1・田中孝平(DC1)