【文系・学振採用体験記シリーズ:学振を通した学びと成長】④田中孝平(DC1)編

学振採用者に協力してもらい、これから学振を出そうとしている院生が抱える質問に回答していただくとともに、採用者自身の学振を通した学びを振り返ってもらう企画です。

学振の概要や他の体験記へのリンクは↓記事を御覧ください。

 

hegs-rakuyu.hatenadiary.org

 

 

この記事ではD1の田中さんの体験記を紹介します。

自己紹介

D1の田中孝平です。学振についてのリフレクションを行います!

採用年度:令和3年度
申請資格:DC1
書面合議・面接審査区分:社会科学
書面審査区分:教育学およびその関連分野
小区分:教育学関連
専門分野:大学教育学

研究課題名:高大接続に向けた高校の探究学習モデルの構築


申請しようか悩み中の人向け

1.DCに申請しようと思ったきっかけは?(検討段階で起こした行動があればそれも答えてください)

DCに申請しようと思った最大のきっかけは,自分の「研究者としての力量」を測るためです。M1のGWのときに先輩方がされていた学振申請書の検討会にオブザーブ参加させていただき,そこで学振という制度について詳しく知りました。学振に採択されることは,自分が研究者としてやっていくために必要なことだと理解し,申請を決めました。

 

2.申請書に記入できる業績が少なすぎて,出しても採用されないのではと二の足を踏んでいます。

業績欄が昨年度よりなくなりました。そこには,業績の有無によって採用可否を判定しないようにする学振側の意図が感じられると私は思っています。実際にネット上には,業績がほとんどないにもかかわらず,採択されたという事例も複数みられました。私もそれほど業績は多くありませんでしたが,業績が少ないことを悲観的に捉えるのではなく,自分が行ってきた研究を一つ一つ詳しく書くことができると捉え,それらを丁寧につなぎ合わせることを意識して申請書を執筆しました。

 

これから申請書類を書く&書いている人向け

3.申請書の構想に要した時間と,実際の執筆に要した時間はどれくらいですか?

申請書の構想は,1月から開始し,2月から3月にかけても引き続き構想を行い,毎日原則3時間以上の時間をかけました。なので,構想段階では180時間くらいの時間を要したと思います。そして,4月5日に構想に基づいた初稿を完成させました。そこから毎日ブラッシュアップの生活を繰り返し,毎日の研究時間のほとんどを学振の執筆に充てました。1日3〜5時間は執筆に充てたと思います。なので,執筆に要した時間は200時間くらいだと思います。学振にトータルかけた時間は400時間くらいだと思います。最終的に申請書はver.46まで書き上げました。

 

4.どの学問分野で申請しましたか?また、その分野で申請する際の注意点があれば教えてください。

社会科学の教育学分野。
自分が出す分野でどのようなテーマが採用されているのかを確認し,自分のテーマが合致するかを確認されるとよいと思います。また,「タイトルの書き方はこれでいいのか」などを確認することが必要だと思います。

 

5.個人的に一番ハードルになった要素や、負担であったことを教えてください。

一番ハードルになった要素は,「繰り返しを避け,短い言葉で相手に伝えること」です。学振の申請書は,分量に厳しい制限があります。「図表をどこで用いればよいか」「このセンテンス(情報)は必要か」「この接続詞は適切か」など,徹底的に表現面にこだわって書かないと採択されません。私もはじめは冗長な文章が多かったですが,何度も書くうちに文章が洗練されていき,徐々にハードルを乗り越えられた気がしました。

 

6. 申請書の作成をすすめていく中で,どのような人に協力を依頼したり、どのような資料を参考にしましたか?また,役に立ったことがあれば教えてください。

申請書の協力依頼は,自分の研究のことをよく知っている先輩から自分の研究のことをよく知らない他研究室の先輩など,多くの方に行いました。最終的には,合計10名くらいの方に見ていただきました。いろいろな方に申請書を見てもらうことで,多様な意見をもらうことができ,どんどん申請書がよくなると思いますが,迷ってしまうこともあると思います。自分のなかで大切にしている軸をブラさないことがポイントだと思います。

資料については,ネット上に公開されている申請書や先輩方の申請書がとても参考になりました。申請書を何度も読み込み,「どのようなレイアウトがきれいに見えるのか」,「どのようなレトリックが使われることが多いのか」などを一から徹底的に分析しました。そうすることで,質の高い申請書の特徴を整理し,それを全て意識しながら執筆することができました。まとめると,申請書のなかで使えそうな文章表現(構文)を暗記するくらい読み込むことをおすすめします。そうすることで,自然とわかりやすい文章が書けるようになるはずです。頑張ってください!

 

 

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以上、D1の田中さんからのご報告でした。

 田中さん、ありがとうございました!